不登校をプラス思考でのりこえる

不登校に関する本の内容をはじめに&もくじで知る

☆ タイトル 不登校プラス思考でのりこえる

※ はじめに
 
 一 息春期Ⅵトラブルは、親子それぞれの人生を見つめなおすチャンス


 学齢期の子どもが何か心に問題を抱えたとき、不登校・登校拒否という状態になるのが普通
です。ところが、不登校に対するいわゆる専門家の考え方や指導方法は千差万別です。不登校
の子どもを抱えた親は、相談に行った先々でまったく正反対のことを言われ、どれを信用して
いいものかと、右往左往しているのが現状ではないでしょうか。

 ほとんどの医師やカウンセラーなどの専門家は「子どもの意志を尊重し、本人の希望を全面
的に受け入れるように!」そして、「ひたすら本人の心の回復を待つように!」「学校のことは
いっさい言わないように! 登校刺激などはとんでもない」という指導をします。また、「現
在の学校は病気のようなものであり、そのような学校へ行く必要はない。むしろ、学校の病理
性をいち早く感じ取って、学校に行かない不登校の子どもの感受性のよさをほめるぺきであ
る」と極論する方もいらっしやいます。
 
他方では、ビジネスとして登校させることを請け負う「登校請負業者」もあらわれています。
そして、医療機関や相談機関などいわゆる専門機関の対応ではぜんぜん効果があがっていない
ではないか、ときびしく批判しています。「登校請負業者」はどこで調べてくるのか、不登校
の子どもを抱えた家庭に電話などで巧みに勧誘します。その結果、高額を支払い依頼する親も
かなりの数にのぼっているのではないでしょうか。

 私自身はいわゆる専門家のいう「子どもの意志を尊重し、ひたすら待つ」というのも「時と
場合」 によっては必要だと思います。しかし、どの子に対しても適切な指導かというと、そう
は思いません。また、「どんな方法を使ってでも学校へ行きさえすればよい」という登校請負
業者の強引な方法には憤りを感じます。しかし、彼らのいう専門機関に対する批判はまったく
当っていないかというとそうでもないのです。専門機関が親や子どもたちのニーズにこたえて
いないからこそ、登校請負業者などが入り込む隙があるのではないでしょうか。本書ではこの
ような現状を打開するために、子どもに「学校ば行きたくない」あるいは「行きたいが行けな
い」と言われたとき、親はどのように考え、どのように行動すべきか、について述べたいと思います。

 私心医師になる前に一〇年あまり高等学校の教壇に立っていた経験があります。そのため、
精神科の「小児・思春期」専門外来を担当することになり、不登校の子どもたちの治療をはじ
めたとき、まず考えたのが学校との協力でした。家庭と学校と専門機関が連携して子どもたち
の支援をするという者史方は、いわば当り前のことです。しかし、現実には家庭と学校と専門
機関との連携はほとんどなされていません。そればかりでなく、相互に強い不信感をいだいて
いる場合がたくさん見られます。そのような場合、最も被害をこうむるのは子どもたちです。
“育ちゆく存在”である子どもたちの一年二年は大人の一年二年とは比較にならないほど貴重
です。われわれ大人の役割はともに連携し、それぞれの役割を果たすことにより最善の支援サ
ービスを子どもたちに提供することではないでしょうか。そのような発想から、私はここ十数
年「FSCシステム・アプローチ」を提唱し、実践してきました。FSCは家庭(Fami-y)
と学校(Sch00-) と専門機関(COunSe≡ng・Center) の頭文字を取ったものです。
 
「FSCシステム・アプローチ」の実践の中から、昨年(一九九三年、平成五年) 『学校へ行
きたくないと言われたとき - 保健室からのアプローチ』 (農文協刊) という本が生まれまし
た。この冊子は学校の教師を主な読者対象として〝学校現場ですぐに使える″を目標に「事例
とQ&A」という形式で書いています。そして、本書は 『学校に行きたくないと言われたとき
 ー 保健室からのアプローチ』という冊子の姉妹編ともいうべきものです。本書が、FSCシ
ステム・アプローチにおける主人公である両親と子どものための「行動指針」あるいは「道し
るべ」となればと思っています。
 
不登校の子どもへのかかわり方は、わかりにくいという声をよく聞きます。本書では、次の
三つの柱を軸にし、三〇のケースを通して、不登校の子どもの理解とかかわり方を具体的にわ
かりやすく述べたいと思います。その三つの柱とは、
 ① 心の悩みの質的ちがいにより、相談機関、援助方法が異なること、
 ② 時期に見合ったタイミングのよいかかわりをすること、
 ③ 心の発達という視点から、どのような大人に成長するか、という長期の見通しをもつこと、です。

 乳幼児期から少年・少女期までの子育ては、親が環境を設定して子どもを育てます。これに
対し、思春期はいままでの育ちで不十分なところを親の枠を越えて子ども自身が自分で修復し
ていく時期です。学校に行けないとか反社会的な行動を起こすなど、表面的にはさまざまなカ
タチを見せますが、子どもたちがのりこえようとしているものは共通しています。第1章では
「不登校のさまざまなカタチ ー ケースに学ぶ思春期の心と親の役割」と題して、典型的な一
五の不登校ケースを通して、思春期の子どもたちがのりこえようとしているものを浮き彫りに
したいと思います。

 第2章では、「学校への誘いかけ(登校刺激) の仕方・考え方」を中心テーマにして、子ど
もの不登校という事態に直面したとき、親ができるだけ冷静に客観的にその事態を考えるため
の基礎的な事柄を述べます。親が、子どもが抱える心の悩みの質や子どもの変化に見合った、
適切でタイミングのよいかかわりをするための参考にしていただければと思います。
 子育てにおいて、親は子ども本人とともに主人公であることは確かです。しかし、心の問題
を抱えた子どもたちの援助においては、病院や専門相談機関での治療やカウンセリングが絶対
に必要な場合があります。第3章ではいろいろな治療・相談機関について、その特徴と役割を
述べたいと思います。

 現実に不登校の子ビもさんを抱えていらっしやる親御さんの場合、ご自分のお子さんとよく
似たケースを本書の三〇ケースの中からまずおさがしになるのもいいと思います。それぞれの
ケースに関連して、どう支援すればよいかを述べていますので、参考になると思います。
 私は精神科医として仕事をする中で「人生にとって経験ほどたいせつなものはない」という
印象を強く感じています。実際の生活体験ほどたいせつなものはありません。そういう見方か
らは不登校や高校中退もかけがえのない実体験です。
 
先日、私の担当している精神科の「小児・思春期」専門外来に、高校二年生で中退した一九
歳の若者が二年ぶりにひとりで受診してきました。彼は私に「中退してからこの二年間が取り
返しがつかないような気がする。……僕はどこか病気かもしれない。……先生、これから先、
生きていてよかった、と思えるようなことがあるのでしょうか」と涙ながらに訴えました。そ
んなとき、私は次のような話をよくします。「君はいま、自分の人生は 『もう、あかん』 と思
っているかもしれないけど、そんなことは絶対ないよ。……人生は長いしね。いろんなことが
あってね。何がプラスになるかわからないよ。僕も回りまわって、医学部に入ったとき、同級
生は一一歳も年下だったよ。……君がこんなに長い間悩んできた経験は君の人生に絶対プラス
になると思う。それをプラスにするのが僕の仕事だよ」。これは、私自身の体験や精神科医と
してたくさんの子どもたちと出会った経験からの私の実感です。
 
子どもの不登校を親子でどうのりこえるかは、子どもの人生にも親の人生にもプラスにもマ
イナスにもなります。ただ登校しさえすればいいというものではありません。子どもが思春期
になるころには、親は四〇代から五〇代になっています。子育てに、仕事に、とガムシャラに
生きてきた二〇代や三〇代とは異なり、四〇代・五〇代になりますと、親は先が見えてきます。
どちらかというと下り坂で、老後のことがそろそろ課題になるころです。そのようなときに子
育ての結果が出てくるのです。会社人間でまったく家庭を省みなかった父親が子どもの不登校
や家庭内暴力で家庭に戻ってきたというケースはたくさんあります。そういう意味で子どもの
不登校は、親のいままでの生き方を修正するチャンスでもあります。また、子どもが巣立って
いった後の夫婦関係を再考する時期でもあります。親自身が自分の人生を真剣に見つめなおし、
変えていくという姿勢なしには子どもは立ちなおれません。そういう点で、この本が何かのヒ
ントになれば、著者の望外の喜びです。
 
なお、本書に登場するケースは、私の臨床経験及び連載中にいただいたご質問のお手紙の中
から、私が創作したケースであり、愚剛もすべて創作上のものです。ケースに対応した特定の
個人が現実にいるわけではないことをお断りいたします。


  一九九四年初夏      奈良・斑鳩にて 原田正文

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