引きこもり

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☆ タイトル 親子療法 引きこもり を救う

※ はじめに

 社会的引きこもり と親の苦悩
 現代日本の青年の代表的な病理現象として、社会的な引きこもりがあげられます。ここで取り
あげる社会的引きこもりとは、非精神病的引きこもりです。思春期から青年期にかけて「比較的
長期にわたり社会的、対人的な接触を断ってしまう」事態と理解をしておきます。その期間や社
会的な引きこもりの程度はさまざまで、まだ一定の見解があるわけではありません。本書ではこ
の事態を「引きこもり」とよんでおきます。
 
この引きこもりという現象は、マスコミでも取りあげられ、ひとつの社会問題となっていると
いっても過言ではないでしょう。たしかに精神科医療に携わる人たちのあいだで、青年の引きこ
もりについて相談を受けることが多い、しかしどのように対応してよいのかわからず因ってい
そ特に親からの接触は頻繁であるが、引きこもった青年が治療の現場に現れないので手の打ち
ようがない、などなどの話を聞くことは日常茶飯事です。引きこもりに対して、家族もその周囲
も医療の現場もその対応に困惑し、試行錯誤を繰りかえしているのが現状です。        

 私は神経症やその周辺領域で悩む人たちの治療を森田療法という精神療法を用いて行ってきま
した。引きこもりがこのような社会的問題となる以前から、神経症で悩み、社会的あるいは対人
的接触を断ってしまう、あるいは最小限しか人と関わらない人たちはいました。私が経験した神
経症のタイプでいえば、対人恐怖や強迫神経症さらには抑うつ神経症で悩む人たちでした。しか
しそのように悩む人たちも結局は意を決して私たちのところに治療を求めてきました。
 
しかし現代ではやや事情がちがうようです。私は現在外来での森田療法や森田療法に基づいた
家族療法、夫婦療法、親子療法、さらにはグループ療法を行っています。そして私のところでも
引きこもってしまった青年の両親から相談を受けます。まず電話で事情を聞くのですが、引きこ
もってしまった青年の両親の苦悩、事態を打開できないことの無力感、このようにしてしまった
のは自分たち親の責任ではないのかという罪の意識や後悔が伝わってきます。

 そしてほとんどの両親が、子どもたちにぜひとも治療を受けさせたいが拒否されたこと、さま
ざまな相談機関、医療機関を訪れたが、「まず本人を連れてくることが先決」といわれて途方に
くれていることなどを訴えます。
          
 少子化の時代を迎え、子どもの挫折は以前とくらべものにならないほど、多くの心理的な打撃
を両親にあたえます。この社会的な引きこもりとは、引きこもった青年の心理的危機あるいは生
きることの行きづまりでもあります

 つまり子どもたちの†年期の危機に重なるような形で両親の中年期の危機が現れてくるので
す。この両者の心理的な危機、不安、失望、傷つきなどの感情が陰に陽にたがいに影響しあい、
だんだんにからまってしまった糸のように事態を複雑にしているとも理解できます。

 親と子どもの関係のなかで、引きこもりが長期化し、固定化してしまう可能性もあるわけで
す。ここで注意をしてほしいのは、私はけっして親の育て方がまちがっていたので子どもたちが
引きこもってしまったと非難をしているわけではないことです。思春期、青年期そして親の年代
でもある中年期の挫折は私たちが生きていくうえで避けることができないことです。私たちはそ
こから多くのことを学び、成長していくものなのです。

 それを本人も親も取りかえしのつかないことと考えてしまったらどうでしょうか。それこそ引
きこもった本人は、そのような自分をのろい、家族を非難するかもしれません。家族はそのよう
な子どもに対して罪の意識をもち、挫折に傷ついた子どもたちを腫れ物に触るようにし、両親が
子どもとの関係から、それこそ引きこもってしまうかもしれません。どうやらそのような親と子
どもの関係のしかたが事態をこじらせていくようです。そして引きこもった青年も両親も無力感
にさいなまれるようになります。             

 引きこもり というやっかいでこじれた事態をときほぐすには、まず家族の関係に注目をする必 
要があります。そこで起こっている引きこもり現象とその解決法については、後にくわしくのべ
ることにします。

 このように社会的な引きこもりを単に引きこもった青年の問題としてのみ考えずに、家族の関
係における悪循環としてとらえると、その理解と治療に新しい視点が開けます。


 本書の構成
 本書では、1章と2章で、混沌とし一括されている引きこもりの現象の整理を私なりに試みま
す。そして日本の精神医学における引きこもりの論議をたどりながら、引きこもりの二つの心理
的特徴を明らかにします。一つは傷つきやすい自己愛であり、他方は偏った完全主義者の挫折と
して理解できるものです。しかしこの両者は多くの場合重なりあって出てきます。

 3章では森田療法から見た引きこもりについて解説します。引きこもりの人たちの悩みがどの
ように理解されるのか、私たちが開発した森田神経質の診断基準やチェックリストから明らかに
します。4章では、家族のあいだで起こつてくる悪循環について説明します。この悪循環に気づ
くことがそこから抜けだす第一歩です。ここでのべられるのは森田療法に基づく家族療法です。
この家族のあいだで起こっている悪循環の打破のためには、結局引きこもった本人も家族も本来
の自分を生きることです。
       
 5章では、引きこもり の家族に山他こりがちな現象とその対策についてのべます。6章では、引
きこもりの青年を対象とした外来での日記を用いた個人精神療法についてのべます。精神療法に
おける「書くこと」 の意味は、情報化の時代を迎えてますます重要性をもってきました。例えば
日記の代わりにメールを用いることも可能です。直接顔を合わせずにメールと電話で治療を行う
こともあります。今までのカウンセリングの枠組みにとらわれない柔軟な発想と治療の方法が外
来森田療法では可能なのです。
 
本書が引きこもりからの脱出のヒントになり、今おちいっている事態の理解の役に立つことを
心から願っています。

☆ タイトル 親子療法引きこもり を救う    定価1300円+税
2001年9月10日  第1刷発行

著 者                北西憲二(きたにし・けんじ)
発行者                野間佐和子
発行所                株式会社講談社
             郵便番号112-8001 東京都文京区音羽二丁目12-21
 電 話  出版部 03-5395-3560 販売部 03-5395-3624 業務部 03-5395-3615
装幀者                 板谷成雄
印刷所                 慶昌堂印刷株式会社
製本所                 株式会社若林製本工場



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