脱原発・再生可能エネルギーとふるさと再生

☆ タイトル 脱原発再生可能エネルギーとふるさと再生

※ はじめに

 福島第一原発事故後、わずか4カ月で、ドイツは脱原発に転換しま
した。2020年には再生可能エネルギーの割合を35%に拡大しようとし
ています。福島第一原発事故後も脱原発に踏み切れないわが国政府と
は異なって、ドイツではメルケル政権が明確に脱原発への転換を明ら
かにしたのです。

 2011年3月11日に福島第一原発事故が発生すると、ドイツでは脱原
発運動がいっきょに国民の支持を高めます。1980年1月に結成され、
環境・脱原発運動の先頭に立って幅広い国民の支持を広げてきた「緑
の党」は、福島事故の2週間後のバーデン・ヴュルテンペルタ州議会
選挙で、前回2006年の選挙で得た46万票・得票率11.7%を、2.6倍の
120万票・24.2%に増やして大勝利しました。そして、同じく原発に
反対する社会民主党(SPD)との連立政権で、全国で初めて州首相の
座を獲得するにいたったのです。

 メルケル首相(2000年に保守党キリスト教民主同盟CDUの党首)は、
もともと原子力擁護派であって、2005年の大連立政権の首相の座につ
き、2010年の長期エネルギー戦略で、17基の原子炉の稼働年数を平均
12年間延長させていました。ところが、福島原発事故に深刻な打撃を
受けたメルケル首相は、事故4日後には3カ月間の「原子力モラいノ
アム」を発令し、31年以上稼働の老朽原子炉7基を直ちに停止させま
した。そのうえで、バーデン・ヴュルテンペルタ州議会選挙での与党
CDUの大敗のなかで、既存の「原子炉安全委貞会」(RSK)に加えて、
新たに「安全なエネルギー供給に関する倫理委貞会」を立ち上げまし
た。

 RSKに対しては、連邦環境省が17基の原子炉についてのストレステ
スト(耐性検査)の実施を求め、5月14日には、政府にRSX鑑定書「日
の福島第一原発事故を考慮したドイツの原発の安全検査に関する見
解」が提出されました。そこでは、①停電と洪水に対しては、福島第
一原発よりも高い安全措置が講じられており、②耐久性にも問題はな
いが、③航空機の墜落に対しては脆弱で、大型の旅客機の墜落につい
て最低限の耐久性をもつ原発はひとつもないとされました。

 メルケル首相が脱原発を決意するにいたったのは、原子力の専門家
によるこのRSK鑑定書を判断基準にするのではなく、電力業界や原子
力産業の代表を入れず、社会学者・哲学者、宗教者などエネルギー問
題とは無縁の知識人で、原子力には批判的であった人々を主たるメン
バーに選んだ「安全なエネルギー供給に関する倫理委貞会」の提言
(5月30日提出)「ドイツにおけるエネルギー転換・未来のための共同
作業」でした。提言書は、原子力は過去のエネルギーであって、使用
をやめるのが最良の道であるとし、停止中の原発を再稼働させず廃炉
にするとともに、残りの原発についても10年以内の全廃を求めました。
さらに、モニタリング制度を創設して、原発停止の他のエネルギー源
による代替のチェックや、電力価格や供給への影響を監視することも
求めたのです。これを受けて、メルケル首相は、ドイツ連邦議会に、
2022年末までに原発を完全に廃止することを盛りこんだ原子力法改正■
案を提出し、連邦議会は6月30日に、620人の議員のうち513人(83%)
の賛成で可決し、連邦参議院も7月8日に通過させます。こうして、
ドイツは、福島事故後に停止させた7基と07年から停止していた1基
を再稼働させず、残りの9基も2022年末までに停止させることになっ
たのです。以上のドイツの脱原発の経緯については、熊谷徹『なぜメ
ルケルは「転向」したのか』(日経BP社、2012年)を参照しました。

 さて、書は、ドイツの脱原発と再生可能エネルギーへの転換の動
きを現地でみてみたいということで集まった「南ドイツ農業研究会」
のメンバーが執筆したものです。

 ドイツにおける近年の再生可能エネルギーの普及については、和田
武氏の精力的な調査研究があり、その研究成果は、『飛躍するドイツ
再生可能エネルギー・地球温暖化防止と持続可能社会構築をめざし
て』(世界思想社、2008年)や、『拡大する世界の再生可能エネルギー
脱原発時代の到来』(世界思想社、2011年)などで発表されています。
和田氏は、日環境学会会長で元立命館大学教授です。「電気事業者
による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(略称「再
生可能エネルギー特別措置法」)で設置された調達価格等算定委員会
の委員にも選ばれています。

 書の編者のひとりである村田は、ドイツやEUの農業政策を専門
としますが、近年のドイツにおける再生可能エネルギー普及の取組み
が、とくに農村地域の新たな発展と活性化につながっていることに注
目してきました。家族農業経営とそれを支えるマシーネンリンクの動
向についてフィールド調査を行ってきた同国南部のバイエルン州の農
村で、太陽光発電と並んで、とくに畜産経営の畜糞メタンガス発酵に
よるバイオガス発電や木材チップ・ボイラーで得られた温水による地
域暖房システムに出くわしてきたのです。そこで、「南ドイツ農業研
究会」を組織して、これらバイオマス・エネルギー開発について、昨
年2011年11月未から12月初めに、ミュンヘン工科大学農業経営経済学
講座のA・ハイセンフーバー教授の支援を得て、バイエルン州南部の
農村地域で現地調査を行いました。

 研究会のメンバーのひとりで、もうひとりの編者である渡過は、京
都府下での農村調査のなかで、まず1960年代には福井原発からの送
電・高圧線の線下補償問題や農事用電力問題に直面し、その矛盾の深
刻さに驚き、法律に基づく「意見の公表」、政府に対する「建議書」、
関西電力株式会社にたいする「申し入れ」の作成を担当しました。70
年代に入ると閲電の京都・久美浜原発に直面し、住民の反対運動に関
わるなかで原発問題と電力問題に関心を高めます。そして今般の「3・
11原発震災」に直面し、被災地と自然エネルギーの現場を訪ね、専門
家を招いて研究会を重ねるとともに、ドイツにおける「100%再生エ
ネルギー地域づくり」に学び、市民・住民運動のなかで、わが国の脱
原発へのエネルギー政策の転換を語る機会が増えてきました。この活
動のなかで「原発ゼロの脱原発・エネルギー政策の転換・再生エネル
ギー100%の地域づくり」が「ふるさと再生の道」に繋がることに確
信を強めるようになります。

 こうしてできあがったのが書です。序章、第1章、第2章、第5
章は渡過信夫が執筆し、第2章の事例のうち、JA三次の小水力発電
については板橋衛が、岩手県小岩井農場のバイオガス発電については
村田が加筆しました。第3章の宮津市のバイオマスタウン構想の意欲
的な取組みについては、直接の担当部局(宮津市自立循環型経済社会
推進室、略称・自立循環室)環境政策係長の小西正樹氏に執筆いただ
きました。第4章のドイツにみる再生可能エネルギーは村田、板橋、・
酒井富夫の共同執筆です。

 福島原発事故被災者に対する万全の救済・除染を含む被災地の復旧
と脱原発をめざす運動の前進には、東京電力を初めとする電力会社と
経済産業省、「原子力ムラ」と闘う幅広く粘り強い国民運動が必要です。
書末尾に、資料1には編者の渡追が関わった〈農事用電力問題等に
関する建議と申し入れ〉 を、資料2には原告ら訴訟代理人の許可を得
て〈伊方原発運転差止請求事件訴状〉 を掲げました。編者の村田も愛
媛県民としてこの裁判の原告団に加わっています。前者からは、昭和
40年代初めの関西電力との闘いの経験を知ることができます。後者の
訴状からは、序章の簡潔な叙述を補って、原発は止める以外に私たち
国民の責任が果たせないことを知ることができます。脱原発を求める
運動の学習資料としてこの訴状を活用されることを願います。
2012年7月1日 執筆者を代表して 村田 武

         「再生可能エネルギー」
 本書では、自然現象のなかで再生されるエネルギー資源、した
がって「環境に優しく、持続可能な自然エネルギー」に「再生可
能エネルギー」の言葉を当てました。そのほとんどは太陽エネル
ギー由来(太陽光・太陽熱、風力、水力、バイオマス、波力など)、
またはマグマ由来の地熱エネルギーや、引力に由来する潮力エネ
ルギーです。国際的にはNewRenewableが当てられ、ダム式大
型水力発電やカマドやたき火など大気汚染の原因となる旧式のバ
イオマス利用は除かれます。(飯田哲也『エネルギー進化論』ち
くま新書934、参照)

☆ もくじを紹介します
\Microsoft Word - 文書 1-001
Microsoft Word - 文書 1-002
Microsoft Word - 文書 1-003

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